開発者 吉原正彦より
このソフトは実地医療にともなったニーズの塊です
市販の医療事務ソフト(いわゆるレセコン)は多くありますが、ほとんどは窓口会計のためのソフトで実地診療の場であまり役立ってはいません。LANを標榜していてもパソコンをつないだだけの会計事務ソフトになっていないでしょうか。
私も事務室のレセコンとは別に診療机の上に汎用パソコンを置き二重入力の無駄に疑問を持ちつつ、患者管理を行ってきました。しかし、医療情勢の厳しい昨今、診療データがブラックボックスにされている単なる金銭出納とレセプトという請求書印刷機能しかない高額なレセコンはむしろ包括、院外処方の流れの中で不要になりつつあります。ダウンサイジング傾向の中でリストラすべきはこの部分であると考え、受付から会計、レセプト印刷まで診療業務の一切を統合的にこなすシステムの自作運用を始めました。
このシステムは診療所のニーズから出発していますから、より実地に役に立ち、使いやすく、しかも安価に経費削減、事務効率化を実現したものといえます 。
せっかくの診療データも窓口会計、レセプト発行だけでなくそれを日常の医療にフィードバックし、医者にも患者にもわかりやすく加工したほうがよいし、さらにLANにしたのなら診療机から常に参照できる(時には入力できるオーダリング)システムがよいのは当然でしょう。検査データや検診データも加工し付加価値をつけて診療机の上からすぐ参照したり印刷できて意味がでるのではないでしょうか。また、院外処方せんの他、紹介状や主治医意見書、訪問看護指示書、診断書、検診報告書、薬剤情報提供書やカルテ表紙も同じデータベース上で作成しレセプトや総括表と同じプリンターで印刷でき、シールに宛名などの印刷も可能にしてあります。
現在当院では受付はパソコンですませ、紙カルテの取り出し搬送をやめ、必要時のみ取り出しています。97年4月からの診療データをかかえて運用していますが、過去のカルテを探しまわることがほとんどなくなり、胸部XPや心電図をとった検査日時などもすぐわかるので取り出し時間も短縮でき、検査台帳をわざわざ作成しなくなったり、年末のカルテ表書き、病名記入が一括印刷できるなど院内雑用業務の合理化も可能になりました。また、画像データの表示も可能です。
電子カルテや電子レセプトが認められたといっても、一般診療所のニーズに応えたものを 安価に配布しないと普及はしません。しかし、恐らく 数百万円のコストの上にレセコンと同様、本来自由にオープンに扱えるべき診療データもブラックボックス化され、見栄えは良くても制約が多い使いにくいシステムなら資金が潤沢な診療所かマニア的な医者のおもちゃになる程度でしょう。
医者が入力するので事務員が楽になるだけで診療へ役立つフィードバックもなく、単に保存スペースの節約に数百万円も投資をする余裕などわれわれ一般診療所にはありません。
紙カルテでできることはすべてできなければ とか、電子カルテ などと大仰に構えず、紙カルテの良いところは残しながら、単純、繰り返し、集計、検索、記録などコンピュータの得意なところを大いに利用して、結果として診療と経営に役立つツールになれば結構なことではないでしょうか。すでにレセコン等で会計やレセプト発行している所でも、患者管理、院内業務合理化に診療支援ツールとして使えるソフトであり、さらに医事業務まで一元的に使えばさらに経費削減に貢献する便利なソフトです。
『Dynamics ダイナミクス』は『力学』の意味ですが、小さな力でも大きな動き、働きになればとの期待を込めてます。
ダイナミクス開発者 吉原 正彦